設立趣意書
一般社団法人医療情報安全管理監査人協会設立趣意書
近年、医療介護分野におけるICTの普及には著しいものがある。これは、国民が望む医療から介護までのシームレスなサービスの提供にはICTの活用が不可欠であるからである。さらに、地域をまたがった医療情報の連携ニーズも高まっている。しかし、ICTの導入は、情報の利活用に大きな助けとなる反面、情報漏えいのリスクが飛躍的に高まることから、適切な安全管理による個人情報の保護も求められることは自明である。
厚生労働省は医療情報システムの安全確保のため、平成17年3月に「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を制定した。その後、ICTの進展に合わせ、関係省庁から医療情報の安全管理に関する各種ガイドラインが制定されている。
医療情報システムの利用者及び関係者が、国の定めた医療情報の安全管理のためのガイドラインを遵守することは、医療情報の有効活用のための必須条件であるといえる。つまり、安全・安心を担保しながらICTの利活用により国民の健康の向上に寄与するには、ガイドラインを遵守した適切な医療情報システムの運用が、何より大切であると考える。
私たちは、このような理念を実現するには、監査によりガイドラインに則った安全管理状況を定期的に確認し、問題があれば随時改善して行くことが第一だと考える。しかしながら、未だ医療福祉分野では情報システムに関する監査が実施されていない現状がある。これは監査の重要性が理解されていないこと、及び監査を実施しようとしても具体的な監査方法が分からないこと、さらにガイドラインを普及・啓発するための制度や組織が整備されてこなかったことが原因として考えられる。
そこで、ガイドラインに則った医療情報システムの安全管理を広く普及させることを目的として、医療機関等やベンダーにおいて監査を実践できる人材を養成し、実際の医療介護現場で活躍しうる人材を育成することとした。この目的のため積極的かつ恒常的に活動していくためにも、公益的機関として運営推進するのが肝要であると考える。よってここに、一般社団法人医療情報安全管理監査人協会の設立を発起する次第である。
平成22年10月15日
一般社団法人医療情報安全管理監査人協会
設立発起人一同